雨樋

私たち屋根屋が住宅建築で

その現場での最後になる仕事が

雨樋を吊ることです

業界用語なのかもしれませんが

雨樋を 取り付ける とは言わず

樋を 吊る と言います

事前に メーカー 型式 色を

お施主様に決めておいてもらい

左官屋さん ペンキ屋さんの工程が終わり

それぞれの 仕上げの 乾燥を確認して

作業に取り掛かります


見積りの時点で 特に指定がない時は

竪樋(たてとい)を落とす場所など

提案という形で 元請け業者に示します

この様な時はメーカーから配布された

技術資料を参考にして

竪樋の落し場所 数を決めています


まずは樋吊(軒樋の取付金具)を取り付けます

樋吊の間隔は1尺5寸間隔で取り付ける様にしています

大きな理由としては 垂木 タルキ(屋根の下地を支える構造材)が

その間隔で並んでいるため その垂木を狙いすまし 

樋吊を 取り付けたいからです


垂木と垂木の間の空間より 垂木正面の方が

少しは強度が高いのではと思って 

この様な事をしています

実際は殆んど強度の差は無いはずですが

でもなんとなく そこに取り付けたく

なってしまいます


私は軒樋を吊る時 水勾配を1000分の5程度

付けます

1mごとに5mm高くなる勾配です

最近は 外観を考え水勾配を全くとらない

軒樋の釣り方がありますが

メーカーが水勾配をとらない仕様の製品以外は

必ず水勾配を付けています

理由はいくつかあります


水勾配を付けないと

①同じ軒樋ならば 排水能力が減り

 竪樋を落とす数が増える

②竪樋の落す数を水勾配付きと同じにしたいならば

 軒樋が ワンサイズ大きな製品になる


上記の二つは お施主様の金銭的負担になり

おすすめできないと 説明しています


私の勝手な解釈ですが

取り付けたものは いつも地面に下りたがっている

と 考えているからです

通常 物は上から下に落ちます 

樋も常に下に落ちたがっていると考えています


長さ10mの軒樋を吊り 

両端に竪樋を取り付けた時

ちょうど 中心の5mのところが

軒樋の 一番高くなる場所になります

軒樋全体が同じように 下がりたがっていますが

まず下がらない場所が 2カ所あります

竪樋を取り付けた場所 

まず下がりません

軒樋に取り付けた竪樋は エルボ という部材を使い

取り回し 

柱をねらって取り付けた

竪樋取付金具 通称 デンデン で固定します

この竪樋が軒樋の支えの一部になり 

一番低い軒樋を下がらなくしているようです


一番低い場所が一番下がりにくい場所

恐ろしくて水勾配無しの釣り方は

私はやりたくありません


もう一つ

水勾配無し ということは

水平に軒樋を吊ることですが

完全に水平に軒樋を吊る など不可能です

どちらかに傾いてるかもしれない

軒樋のどこかが 少し低くなっているかもしれません

メーカーのマニュアル通りに施工すれば 

事故は無いと思いますが


軒樋の一部が下がってたとします

でも 事故になるほどではない 僅かな狂い

でも 水は決して見逃しません

雨が止んだ後 少しでも低いところに

水は残ります 

次の日晴天ならばその水も 乾くでしょう

たまった水が 乾いた後には

ほんの僅かな 砂ほこりが付着しています

次に降った雨で 流れてくれればよいのですが


築15年から20年くらいの家で

軒樋に泥がたまり 雨水があふれ出ている

家を何度も修繕しているので

水勾配無しの 樋を依頼されると

元請けでも お施主様でも

あれこれ理由をつけて

やめる様 説明します


誰に何の恨みもトラウマもありませんし

メーカーの製品にも文句はありませんが

とにかく私は

軒樋の 水平吊 は大嫌いです


竪樋は次でお話します











 


屋根屋です

神奈川県小田原市で 村田板金工業所の屋号で建築板金を 営んでいます。

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